尊厳死宣言書コラム

尊厳死の宣言書~法律・判例

  1. 尊厳死宣言書(リビングウィル)とは?
  2. 尊厳死と延命治療中止
  3. 尊厳死と法律・判例
  4. 積極的安楽死の4要件
  5. 尊厳死宣言書がない場合
  6. 尊厳死宣言書の有効期限
  7. 「尊厳死宣言書」新聞掲載コラム
  8. 自分でできる「尊厳死の宣言書」
スポンサーリンク

尊厳死宣言書(リビングウィル)とは?

尊厳死宣言書は、“リビングウィル”とも、呼ばれ、現在の医学では不治であり、死期が迫っているにもかかわらず、いたずらに死期を引き延ばすためだけの延命措置を拒否するように宣言するものです。
 内容的には、

  1. 無意味な延命措置の拒否
  2. 苦痛を和らげる処置の実施
  3. 植物・脳死状態での、生命維持措置の拒否

です。

現在は、尊厳死に関わる法律がありません。ですから、“尊厳死宣言書”というものが、法的に効力を持ち、そこに書いてあることがすぐさま、かなえられるというものではありません。

しかし、医療現場では、判例を法的よりどころとして、この尊厳死宣言書(リビングウィル)があることによって、自己の意思として認められ、体中にチューブを通し、ただ、“機械に生かされているだけ”という、延命治療を中止することができています。

尊厳死宣言書(リビングウィル)写真

尊厳死宣言書

尊厳死宣言書を3部程度作成することをおすすめしています。

1)延命措置の停止
2)苦痛を和らげる処置は最大利用
3)植物状態での生命維持措置の停止

3点を求める書面です。判例に基づいた記載ですので、文面の変更はできません。積極的な死を求めるものではなく、無意味な延命措置を停止し、人として尊厳ある死を迎え入れるための書面です。

尊厳死と延命治療中止

『尊厳死を求めること』は、最終的には『延命治療の中止』を求めることになります。

延命治療を中止することは、積極的に死に向かわせる『安楽死』とは異なり、自然に死に向かうように『治療を停止』することです。

『自然に』とはいっても、延命措置を停止することによって、人の生命が失われることに変りはありませんので、延命治療を中止することができる厳格な要件が、過去の判例の中で明示されました。

そして、現在、この判例が、無意味な治療の中止行為についての法的よりどころとなっています。

判例で明示された延命治療中止の要件(尊厳死が叶えられるとき)

  1. 患者が治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みもなく死が避けられない末期状態にあること
    (解説)
      患者の自己決定権は、死そのものを選ぶ権利や、死ぬ権利を認めたものではなく、死の迎え方、死に至る過程を選択する権利を認めたに過ぎません。早すぎる安易な治療の中止を認めることはできません。
      生命を救助することが避けられず、単に延命を図るだけの措置でしかないときに、初めて、治療の中止が許されます。
  2. 治療行為の中止を求める患者の意思表示が存在し、治療の中止を行う時点で存在すること
    (解説)
      患者の明確な意思表示が必要ですので、病状に関する正確な情報を十分に得て、正確に認識した上での意思表示となります。
     意識がなくなってしまっているときは、推定意思によることが許され、事前の書面(尊厳死宣言書)が必要になります。
      しかし、この書面があまりにも昔に書かれたものだったり、内容が漠然としているときは、家族の意思表示で補う必要があります。
  3. 治療行為の中止の対象となる措置は、薬物投与、化学療法、人工透析、人工呼吸器、輸血、栄養・水分補給など、疾病を治療するための治療措置及び対症療法である治療措置、さらには生命維持のための治療措置など全てが対象となります。
      どのような措置をいつ中止するかは、死期の切迫の程度、当該措置の中止による死期への影響の程度等を考慮して決定されます。

以上の治療行為の中止に関する判決は尊厳死の考え方が十分に反映されており、尊厳死を求める人にとっては、画期的な判例となりました。

尊厳死と法律・判例

『尊厳死』に関しては、立法化されていません。また、『尊厳死』の立法化を反対する団体もあり、人の『死』に対する考え方はさまざまです。

 尊厳死・延命治療中止を、安楽死とは別ものとして明示した裁判が『1995年 横浜地方裁判所 東海大安楽死事件』です。

現在、この裁判判例が、延命措置の停止の法的よりどころとなっていますので、紹介します。

1995年 横浜地方裁判所 東海大安楽死事件

患者は末期ガンで入院しており、その後、腎不全を併発したため、KCL(塩化カリウム)等の注射をして患者を死に至らしめました。

医師は、「患者の家族に強く要請されて、注射をすれば患者が死ぬと承知した上で薬剤を投与した」と言っておりましたが、逮捕され、起訴された事件です。

この注射をするときには、看護婦に止められていましたが、医師は強引に一人の判断で薬剤投与(注射)をしてしまったわけです。

患者の家族からは起訴しないよう求める嘆願書が提出されていましたが、KCL(塩化カリウム)等を注射した行為は、『患者に肉体的苦痛は存在せず、患者の明示の意思表示も存在しないので、積極的安楽死の要件を満たしていない』ので、殺人にあたるとされ、懲役2年執行猶予2年の判決がでました。

  このときの患者は、昏睡状態で肉体的苦痛はなく、生命の短縮を認める本人の意思表示がない、など、積極的に安楽死させてもよい要件は揃っていませんでした。

この裁判では、医師による積極的安楽死の4要件を提示し、安楽死と治療行為の中止を分けてそれぞれの要件を示しました。

スポンサーリンク

積極的安楽死の4要件

安楽死についても、立法化されていません。尊厳死と安楽死を混同して考えがちですが、尊厳死が自然の死を迎え入れると異なり、安楽死は、『積極的に』死に向かうものです。

 ここでは、安楽死の要件を示しますが、あくまでも、現在、判例として認められている範囲のものであり、ここに列挙したものは、最低限満たさなければならないということで、これらを満たしていたら安楽死させてもよい。ということではありません。

安楽死の4要件

  1. 耐え難い肉体的苦痛があること
  2. 死が避けれずその死期が迫っていること
  3. 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし他に代替手段がないこと
  4. 生命の短縮を承認する患者の明示の意思表示があること

の4要件です。

日本では、安楽死を合法だと認める法律はありませんので、安楽死であっても人を殺したという違法行為をしたことには変りありません。ただ、通常の殺人とは異なり、その行為が告発された場合に、裁判で判決がでます。社会全体の意識や時代背景によって変遷していくとになると思われます。

尊厳死宣言書がない場合

尊厳死宣言書がない場合は、延命治療中止のための、他の要件がそろっていたとしても、中止してもらえないのでしょうか?

判例では、延命治療の中止については、書面による『本人の意思』が必要とされていますが、家族全員の意思確認によって、中止措置が取られる場合もあります。

ただ、治療中止処置をとり、事件になって逮捕されている医師もいますので、家族全員の意思とはいえ、安易に治療中止をする医師は少ないでしょう。

医師の判断によるところが大きいので、もし、いざというときの延命治療中止を望むのであれば、『尊厳死宣言書』を作成し、家族にも理解をしてもらっておくことが必要でしょう。

尊厳死宣言書の有効期限

『尊厳死宣言書』には、有効期限があるのでしょうか?

人の気持ちは変ります。例えば、20年前に、『自分に、「もしも・・・」のときが訪れたら、延命治療中止をしてもらおう』と、考えて『尊厳死宣言書』を作成したとしても、20年前の日付の入った書面だけを見て、医師は、その人が現在もその意思を継続して持っていると考えるでしょうか?やはり、そこには、疑義が生まれます。

『尊厳死宣言書』には、『○年前までの書面が有効である』との有効期限はありませんが、通常考えられる意思継続の範囲内での本人の意思確認ができるようにしておく必要があります。

その方法としては、

  1. 毎年、尊厳死宣言書を書き変える。
  2. 毎年、保管機関へお金を振込み、その振込み手続をもって、意思継続の明示に変える。
  3. 毎年、意思継続の署名捺印を追記していく。

など、様々な方法があると思います。

個々人で、好みの方法をとればよいと思います。

スポンサーリンク

「尊厳死宣言書」新聞掲載コラム

相談担当行政書士が平成16年4月~平成17年3月まで地方新聞にコラム提供しておりました。その中で、『延命治療中止と尊厳死宣言書』について記載した記事がありますので、紹介します。

延命治療中止と尊厳死宣言書

私は初期の癌患者ですが、今後の治療を考えると、いつ、身動きができなくなるかわかりません。意識がなくなった後、苦しいだけの治療はやめてほしいと思っています。

何か、良い方法はありますか?リビングウィル(尊厳死宣言書)があれば、治療停止してもらえると聞きましたが、それは、どういうものなのでしょうか?

尊厳死宣言書は、、法律で定められたものではありませんが、判例上、治療停止に必要とされている書面のことで、これがないと、医師も治療停止ができません。

何を書くことができるかと言うと、

  1. 現在の医学では不治であり、死期が迫っていると診断された場合に、死期を引き延ばすためだけの延命措置はやめる。
  2. 但しこの場合、麻薬などの副作用で死ぬ時期が早まったとしても かまわないので苦痛を和らげる処置は最大限実施すること。
  3. 数ヶ月以上にわたって、いわゆる植物状態に陥った時は、一切の生命維持措置をやめてほしいこと。

の3点です。延命治療を停止する時期は、医師の判断も必要になります。 尊厳死宣言書がないと、意識の回復の見込みがなくなってからも、延々と治療が続いてしまいます。

ただ、命に関わることですから、本人の意識ががはっきりしている時に作成するということが絶対必要です。

2004年6月7日「家庭と生活」

2004年6月17日 福島民友新聞「TOUCH」[身近なトラブルQ&A]

自分でできる「尊厳死の宣言書」

  1. 自分でできる「尊厳死宣言書」ダウンロードは、こちらを右クリックします
  2. 「名前をつけてリンク先を保存」をクリックして、保存したい場所を選んで保存(デスクトップなど)してください

  1. 印鑑(実印が望ましい)、黒のボールペン(消しゴムで消えないものならOK)、ホチキスを用意します
  2. ダウンロードした尊厳死の宣言書ファイル(songensi_sengensyo.pdf 全2ページ)を3部印刷します
  3. 3部とも、尊厳死の宣言書ファイルにある尊厳死の宣言書(1ページ目)と意思確認用紙(2ページ目)をホチキス等で留め、1ページ目に、作成日付、住所、氏名、生年月日を記入し、押印します

  1. 押印した印鑑で、1ページ目と2ページ目の継ぎ目に割印をします。
  2. 年に1度定期的に、意思確認として記名押印することをお勧めします
  3. 封筒等に一部づつ入れ、ご家族や主治医などに保管してもらったり、常に持ち歩く鞄等に入れてください

「尊厳死の宣言書」を有効に保つために

『尊厳死宣言書』に有効期限はありませんが、毎年、意思継続の署名捺印を追記していくために、尊厳死の宣言書ファイル(songensi_sengensyo.pdf)の2ページ目に意思確認用紙をご用意しております。

尊厳死の宣言書と共に保管し、毎年1回、署名捺印することによって、作成した「尊厳死の宣言書」を疑義の生まれない、有効な書面として保管することができます。

また、保管をお願いしている方(主治医や家族など)とも、意思の確認ができるメリットがあります。
「尊厳死の宣言書」は、隠し持っていても意味がありません。あなたが意思表示ができなくなったことを知ることができる人が、この書面の存在を知っている必要があります。

どうぞ、周りの方とも「尊厳死」について、理解を深めておいてください。

自分でできる「尊厳死宣言書」ダウンロードは、こちらを右クリック

スポンサーリンク

関連ページリンク

メディア関連

京都新聞掲載『死の用意の形』(著:瀬戸内寂聴さん)で取り上げられました

TBS様より取材申込がありました

宇部日報「家庭と生活」にコラムを提供しました

福島民友新聞ウィークリーTOUCHにコラム提供しました

韓国文化放送様より、取材放映の申込がありました

フジTV様より、リビングウィルに関する問い合わせがありました

CategoryMenu

▼尊厳死の宣言書の作成

尊厳死の宣言書(リビングウィル)とは

「尊厳死の宣言書」作成者の感謝の声

▼遺言状の作成

遺言状の種類

公正証書遺言

秘密証書遺言

直筆証書遺言

遺言状を作成できる人の要件

遺言状で遺言できる内容

遺言内容の撤回・変更

遺言内容の実現

スポンサーリンク