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任意後見契約書の文例サンプルと解説

  1. 文例を自分用にアレンジすること
  2. 任意後見契約書 第1条~5条
  3. 任意後見契約書 第6条~11条

紹介するサンプルは、「任意後見契約」と「本人(委任者)が亡くなった後の事務処理を受任者に依頼する委任契約」をセットにした場合の、「任意後見契約」文例です。

自分にとって何が必要なのかを十分に認識することが大切です。

文例を自分用にアレンジすること

サンプルの第1条~5条で、契約の趣旨、契約の発効、委任事務の範囲、重要な財産等の処分、身上配慮の義務を定めています。
現時点では、しっかり内容を把握できている状態だと思いますが、どのような状態に自分がなったときに、契約内容の履行をはじめるのか、何を委任するのか、どのように管理してもらうのかなど、細かく財産ひとつひとつについて考えておく必要があります。
また、自分自身の日常生活が清潔で快適な状態を保てるような内容にすることも大切です。

サンプルの第6条~11条で、証書等の保管等、費用負担、報酬、報告、契約終了について解説します。とても大切な部分ですので、最低でもこのサンプルにある内容は盛り込むようにしてください。
後見人が不正をした場合などや後見人を辞任したい場合なども、契約が発効した後では勝手にすることはできません。

任意後見契約書 第1条~5条

第一章 任意後見契約

第壱条(契約の趣旨)
委任者○○○○(以下「甲」という。)は、平成○○年○○月○○日、受任者○○○(以下「乙」という。)に対し、任意後見契約に関する法律に基づき、精神上の障害により事理を弁識する能力の不十分な状況における甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「後見事務」という。) を委任し、乙は受任する。

解説: 「信頼できる者」と任意後見契約を締結することになったというこ とが書かれています。

第弐条(契約の発効)
1 前条の契約(以下「本契約」という。)は、任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる。

解説: 任意後見契約は、委任者(本人)の判断能力が低下して、受任者 (後見人)を監督する「任意後見監督人」が選任されてから契約の 効力が出ます。

2 本契約締結後、甲が任意後見契約に関する法律第四条第壱項所定の要件に該当する状況になり、乙が本契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をする。

解説: 本人の判断能力が低下して、後見事務を行わなければならなくなった場合には、「受任者は、任意後見監督人選任の申立てをしないさい。」ということが書かれています。

3 本契約の効力発生後における甲乙の法律関係は、任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか、民法の規定に従う。

解説: 本人の判断能力が低下して、受任者が後見人となった後は、この契約に基づいた事務が開始されます。当然、法律に違反する行為は許されません。

第参条(委任事務の範囲)
甲は、乙に対し、別紙代理権目録記載の後見事務(以下「本件後見事務」 という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

解説: 本人が後見人に与える権限は、「代理権目録」に記載されます。 本人の判断能力が低下した後、受任者(後見人)は、与えられた事務を行うことになります。 契約締結時には、この「代理権目録」を必ずチェックしてくださ い。無用な代理権まで与えてしまう可能性があります。

第四条(重要な財産等の処分)
甲が所有する不動産(不動産の持分を含む)及び重要な動産を第三者に売却して換金し、担保に差し入れて金銭を借り入れる等の処分行為は、甲の生活費、療養看護費又は介護費用を支弁するため、他に方法がないと認められる場合で、かつ、後見監督人の同意を得られた場合に限りすることができる。

解説: 後見人が、本人のために、不動産の売却・高価品の売却をしたり、それらを利用してお金を借りるような場合には、「それ以外に方法がない」という場合に限られます。さらに、任意後見監督人の同意が必要です。

第五条(身上配慮の義務)
乙は、本件後見事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ、甲の身上に配慮するものとし、その事務処理のため、適宜甲と面接し、ヘルパー等日常生活援助者から甲の生活状況につき報告を求め、医師等医療関係者から甲の心身状態の説明を受ける等の方法によって、甲の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとする。

解説: 後見人は、本人の心身の状態や生活の状況に配慮しなければなりませんし、本人の意思を尊重しなければなりません。

任意後見契約書 第6条~11条

第六条(証書等の保管等)
甲は乙に対し、本件後見事務処理のため必要と認める次の証書等を引き渡す。
                      記
①実印・銀行印、②印鑑登録カード、③預貯金通帳、④年金関係書類、⑤キャッシュカード、⑥重要な契約証書、⑦保険証書、⑧その他甲乙が合意したもの

解説: 本人は、判断能力が低下したときは、後見人が後見事務を行うた めに必要なものを引き渡します。

2 乙は甲から前項の証書等の引渡を受けたときは、その明細及び保管方法を記載した預かり証を作成して甲に交付する。引渡を受けた証書等は善良な管理者の注意義務をもって保管管理し、本件後見事務処理のために使用する とができる。

解説: 本人が後見事務に必要なものを後見人に渡したときは、後見人は本人に「預かり証」を渡します。 後見人には、預かったものを自分の大切なものを保管するのと同 じように保管する義務があります。 預かったものは、後見事務を行うために使用されます。

3 乙は、本契約の効力発生後に甲以外の者が前項記載の証書等を所持しているときは、その者からこれらの証書等の引渡を受けて自ら保管することがで きる。

解説: 本人の判断能力が低下したときに、後見人以外の人が預貯金通帳などを持っていたときは、後見人は、その人からそれを返してもらうことができます。

第七条(費用の負担)
乙が本件後見事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができる。

解説: 後見人が事務を行うために必要な交通費や郵送費、住民票などの取得費は、本人の財産の中から支払われます。

第八条(報酬)
甲は、本契約の効力発生後、乙に対し、本件後見事務処理に対する報酬と して毎月末日限り金○○円を支払うものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払を受けることができる。

解説: 後見人への報酬を決定しておきます。報酬額が適当か十分に検討 してください。なお、必ず報酬額を決定しなければならないというものではなく、子など親族に頼む場合などは、無報酬でも問題ありません。

知っていましたか?(重要)
報酬の支払いは、後見人に対してだけではありません。任意後見を始めるためには、必ず任意後見監督人が選任されます。選任された人は、本人のために後見人を監督するという職に就くことになるわけですから、任意後見監督人にも報酬を支払う必要があります。 ただし、任意後見監督人の報酬は、「何をやったか」や「本人の 財産状況」などから、家庭裁判所がその額を決定して、本人の財産 の中から支払われますので、任意後見契約書中には記載されません。 後見人の報酬のみを考えて契約を締結すると、後で大きな出費があるかもしれません。

2 前項の報酬額が次の事由により不相当となった場合には、甲及び乙は、任意後見監督人と協議のうえ、これを変更することができる。
(1) 甲の生活状況又は健康状態の変化
(2) 経済情勢の変動
(3) その他現行報酬額を不相当とする特段の事情の発生

解説: 本人と後見人との間で取り決めた報酬額は、様々な事情によって 「少な過ぎる」あるいは「多すぎる」といった状況になる可能性があります。 その場合には、後見人は任意後見監督人と協議をして報酬額を変更することができる規定です。

3 前項の場合において、甲がその意思を表示することができない状況にあるときは、乙は、任意後見監督人の書面による同意を得てこれを変更することができる。

解説: 後見人の報酬を変更するときに、本人の意思がはっきりしないような状況になってしまっている場合には、後見人は、任意後見監督人の書面による同意を得る必要があるという規定です。

4 第弐項の変更契約は、公正証書によってしなければならない。

解説: 後見人の報酬を変更するときには、公正証書によって変更する必要があるという規定です。

第九条(報告)
乙は、任意後見監督人に対し参か月ごとに、本件後見事務に関する次の事項について書面で報告する。
(1) 乙の管理する甲の財産の管理状況
(2) 甲の身上監護につき行った措置
(3) 費用の支出、使用状況
(4) 報酬の収受

解説: 後見人は、後見事務の定期的な報告を任意後見監督人にしなけれ ばなりません。

2 乙は、任意後見監督人の求めがあるときは、前項にかかわらず速やかにその報告をする。

解説: 任意後見監督人から、「後見事務の報告をせよ」と言われたときは、後見人は、すぐに後見事務の報告をしなければなりません。

第拾条(契約の解除)
任意後見監督人が選任される前においては、甲又は乙は、いつでも本件契約を解除することができる。ただし、公証人の認証を受けた書面によって行わなければならない。

解説: 本人の判断能力が低下する前であれば、いつでもこの契約を解約することができます。ただ、公証人の認証を受けた書面によって解約することになります。

2 任意後見監督人が選任された後においては、甲又は乙は、正当な事由があ るときは、家庭裁判所の許可を得て、本契約を解除することができる。

解説: 本人の判断能力が低下した後の解約は、正当な理由がないとできません。また、正当な理由があるからといって、勝手に解約できる のではなく、家庭裁判所の許可が必要となります。

第拾壱条(契約の終了)
本契約は、次の場合に終了する。
(1) 甲又は乙が死亡又は破産したとき
(2) 乙が後見開始の審判を受けたとき
(3) 甲が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたとき

解説: 任意後見契約は、上記の状況となったときに終わります。


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