債権回収の方法、コツ
売掛金や貸し金の債権回収の方法と注意点
- 債権回収1 電話・話し合いで催促&滞納の理由
- 債権回収2 内容証明での債権回収
- 債権回収3 法的手続
- 債権回収4 損害金
- おまけ 期限の利益喪失の特約事項
売掛金や、貸したお金を返してくれない債務者たち。まず、債権回収を考えるときに、”なぜ?返済されないのか?”を、把握しておくことが大切です。内容証明郵便で処理しようと思うと、うまくいかないことがあります。なぜって、内容証明郵便を受け取ると、とても、ケンカを売られたような気持ちになり、返そうと思っていた債務者の気持ちを逆撫ですることになってしまい、話がこじれていくことがあるからです。
ただし、債権の時効がもうすぐ!(売掛金は2年で、時効消滅)という場合は、内容証明郵便で時効の停止を行うことが必要です。
その1 電話・話し合いで催促&滞納の理由
まず債権回収で最初にやることは、話し合いで返済を促します。穏便に。
1.払う気はあるのだけど、現在資金がない場合(将来、支払える予定有り)
きちんとした返済計画を立てさせ、債務承諾書を書いてもらいましょう。債務承諾書は時効を中断する効果がありますので、これは、ぜひ、書かせましょう。(詳しくは時効の中断)。
また、分割支払契約書を作成することによって、債務の承認と返済が確約できて、時効も止まるので、これを作成するようにします。また、時効がすぐそこまで迫っているときは、内容証明郵便で、とりあえず時効を停止させます。
2.あなたに支払うのは、後回しになっている(ナメラレテイル!)
少し、きつく取り立てた方がいいかもしれませんね。その後の人間関係や取引関係を考えて、内容証明にするかどうかは考えますが、支払催促の強い意志を相手に伝えます。この場合も、債務承諾書や、支払計画書や、契約書を書かせて、時効を中断させたり、内容証明郵便で時効停止をさせます。
3.資力がない
少しでも残っているうちに、法的手続をとってくだいさい!支払督促の申立や訴訟です。 債務名義を作って、差押えの手続(強制執行)をした方がいいかもしれません相手が破産宣告をしたら、、、、ほとんど、何も返ってきません。
4.資力はあるが、払いたくない。と思っている
これは、相手の言い分をよく聞いてください。商品が満足いくモノではなかったとか、なにかしら、不満がある場合です。お互い話し合いをして、分割払いにするとか、こちらも、少し譲歩して値引きするとか、相手が全く払う気をなくしてしまわないように、気をつけます。
もちろん、債務承諾書と返済案を書面に残しておきましょう。一応、催促は内容証明ですると良いでしょう。
5.他で裁判をやっていて、弁護士に支払を止められている。
こういうふうに言ってくる債務者がいますが、そういう場合、弁護士の連絡先を聞いて、どういう状況なのか聞いてみましょう。全く関係のない事件だったり、債務者がウソをついている場合があります。
また、弁護士も「相談はされたけれど、正式に依頼を受けているわけではないので、あなたのことは全然知りません。」などという場合も、あったりします。弁護士がこう言ってる。ああ言ってる。というのに、一般の人は弱いですが、真実を突き止めなくては、債権回収はできません。
6.その他
債務者が、お金を払わない理由はゴマンとあります。ウソをついている場合もあれば本当に困っている場合まで。真実を確かめて、それから、債権回収しましょう。
その2 内容証明での債権回収
時効停止
今後の手続がどのように進むにしろ、時間は、あっという間に過ぎて行きます。必ず、内容証明郵便で、債権支払請求をして、時効の停止をします。 6ヶ月以内に、裁判上の手続をして下さい。
債権譲渡・相殺で回収
契約書に債権譲渡の特約禁止事項がない場合に、使えます。
- 私 Aさんにお金を貸している
- Aさん Bさんにお金をかしている
- Bさん
このような場合、
私:Bさんに、Aさんへの債権を買ってもらう(⇒債権譲渡(民法ノート))
Bさん:Aさんに「私」から買った債権と、もともとあったAさんからの債務を相殺する
(⇒相殺(民法ノート))
ことで回収することができます。Bさんの合意さえ得られれば、Aの意思は関係ありません。
※債権譲渡通知は、内容証明郵便で出しますが、これは、譲渡人である”私”がAさんに出します。譲受人であるBさんが出した場合、債権譲渡の効果はありません。注意が必要です。相殺の通知も、もちろん、内容証明郵便で出すことが必要です。Bさんが出します。
証拠がない場合
売掛金の明細がない!借用書がない!よくあることです。内容証明郵便で証拠を作りましょう。お金を請求して、その返済に対して、書面で回答するように持っていきます。一括でも、分割でも払う意思があること、もしくは、払う意思がなくても、債務があることを承諾させるような文章で、相手に内容証明郵便で返事を出させます ついでに、分割支払契約書をかかせましょう。
契約書は公正証書に!
相手と、合意が得られれば、契約書は、ぜひ、公正証書にしておきましょう。いつでも、強制執行することができます。
その3 法的手続
話し合いや、内容証明郵便を送っても解決しない、相手が払わない場合、法的手続をします。契約書、借用書、債務承諾書など、債権債務を証明する書類は揃っていますか?
支払督促の申立、少額訴訟、簡易訴訟、普通訴訟、調停、即決和解、仲裁、示談など、公的機関に訴えます。
調停、和解などは、裁判所で、裁判官の元で、話し合いをして、返済計画まで立てるモノです。この返済計画案どおりに返済をしなかったら、強制執行できるようになっています。
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支払い督促や強制執行など自分でできる手続きもあります
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その4 損害金
滞納金には、契約で決まっている率を遅延損害金として上積みできます。また、通常元本に、商事債権なら年率6%、民事債権なら年率5%の利息を請求できますので、忘れずに請求しましょう。
おまけ 期限の利益喪失の特約事項
”期限の利益”って、聞いたこと、ありますか?分割払いの利益のことです。返済を分割していいなんて、債務者にとっては、利益ですね。そして、この、期限の利益の権利を一瞬で奪ってしまうのが、”期限の利益の喪失特約事項”です。
分割払いを、一度でも滞納したり、契約どおりにしなかった場合、残りの全額に対して請求できるモノです。優れものです。これが、契約条項にはいっていれば、1回で全額についての差押えが可能になります。入っていないと、分割払いの期日がくるたびに、分割した1回分について、訴訟や差押えの申立をしなければならなくなります。これは、気が遠くなるほど、めんどくさいですよね?
金銭の貸借、返済の契約書には、この、期限の利益喪失の特約事項を入れましょう!! 当事務所では、債権の回収の内容証明郵便で、返済の要求と、一括で払えない場合の返済計画を出させるようにしています。
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